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京都最古の禅寺・建仁寺で開催!「不識」の思想を現代に伝える禅×デジタルアートの融合

京都最古の禅寺・建仁寺を舞台に、2025年11月1日〜8日の8日間、文化体験イベント「Sensory Experience of ZEN and FUSHIKI ~五感で感じる禅と不識の世界~」が開催。達磨大師の思想「不識(ふしき)」をテーマに、禅の静けさと最新技術を融合したイベントは必見。プロジェクションマッピングや3Dホログラム、坐禅や茶道体験といった多層的な演出で、訪れる人を「感じる禅」の世界へ誘います。

禅寺という空間が語り始める夜

夜の建仁寺。石畳の小路をたどり、方丈前庭へ足を踏み入れると、闇と光の間に非日常の世界が広がる……それは、まさに身体と意識に語りかけるような体験。今回のイベントは、禅の思想「不識(ふしき)」を起点に、光と影、音と静寂が響き合う新たな文化体験を目指しています。「不識」とは、言葉や概念を離れたところにある真なるもの、理屈を超えた知の境地。達磨大師の教えに通じるこの思想を、感覚的な体験を通じて現代人に再提示しようという意欲的な試みです。

新たな文化財活用の挑戦、夜間の庭に漂う光の物語

演出イメージ

建仁寺の方丈前庭を舞台に、プロジェクションマッピングと幻想的なライトアップが織りなす演出は、これまでの寺院夜間拝観の枠を超えるもの。TEAM FIREが手がける「D-K(デジタル掛軸)」をはじめ、関西では珍しい3Dホログラム技術を加え、場所そのものをキャンバスに見立てて視覚と感覚を刺激します。映像は、建仁寺の建築・自然・訪問者自身をスクリーンとして取り込み、時間とともにゆるやかに表情を変えていくのも見どころのひとつ。季節の移ろいや無常を連想させるその変化は、まるで掛け軸が時を超えて語りかけるようです。このような夜間空間演出は、文化財への負荷や保存の制約を考慮しながら、歴史空間を現代に開く新たな窓口。

事実、本イベントは文化庁の補助金事業(令和7年度「文化資源活用事業費補助金」)に採択され、文化財を能動的に活用するモデルのひとつとして期待されています。

夜間特別拝観プロジェクションマッピング

注目は、毎晩、15分に1回、約3分間のプロジェクションマッピング。静寂に包まれた庭が次第に光を帯び、映像が刻々と変化するなかで、観る者は禅と時間の結び目に身を置くような錯覚を味わえます。D-K (デジタル掛軸)は常時上映され、11月1日・4日・7日・8日は18:00〜21:00、2〜3日・5〜6日は17:30〜21:00で、最終入場は20:30となっています。

五感で感じる坐禅&茶道体験

国宝「風神雷神図屛風」

本イベントのハイライトが、大書院という普段非公開の空間で行われるこちらの体験。限定4日、1日30名という制約のもと、以下のような趣向が凝らされています。

  • 風神雷神図や達磨大師「不識」掛軸などの設え

  • 潮音庭での雲海演出

  • 専用の主菓子、抹茶、お茶道具

  • 緊張と静寂が交錯する坐禅の時間

この体験では、作法をなぞるのではなく、「心を整える」「今を感じる」という感覚を伴う禅の時間そのものへ誘われるよう設計されているところにも注目です。

抹茶イメージ

また、夜間拝観者向けには、一般来場者も楽しめるお抹茶席が大書院で提供。特別演出の中で一服差し出されるお茶は、視覚だけでなく味覚をも通じて空間と時間をつなぐ役割を果たしてくれそうです。

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技術と伝統の融合を支える演者たち

参考:迎賓館赤坂離宮 行われたD-K(デジタル掛軸)を使用したプロジェクションマッピング

今回のイベントの企画・運営に携わっているのは、伝統と最先端表現を架け橋する演出集団「TEAM FIRE」。 3Dホログラム技術(たとえば「Dimpact® 3D Holo Vision」)を16台連携で用い、空中に浮かぶ立体映像を裸眼で見せる演出も取り入れられているなど、プロジェクションとの融合で空間に立体感と奥行きを与えてくれます。 こうした技術基盤と宗教建築、庭園空間が有機的に響きあうことで、「見る」「感じる」「佇む」という三重の新体験が期待できます。

 

仏教では、言葉で捉えきれないものを体験を通じて知るという考え方は少なくありません。このプロジェクトは、言葉を超えた「感じる知」を、現代の技術と和解させながら提示する挑戦。また、訪日観光客が増加するなか、文化体験の質をどう高めるかは重要な課題です。精神性と物語を伴う新しい体験、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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