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羽生結弦、練習着に宿る10年の軌跡『羽生結弦 2015-2025』

フィギュアスケート界の金字塔、羽生結弦選手の「練習着」に焦点を当てた写真集『羽生結弦 2015‑2025』(撮影:田中宣明/発行:舵社)が2025年10月21日に発売が決定。本番でもない、華やかでもない「氷上の舞台裏」を捉えた144ページのトリビュート。20代から30代にかけての10年間、彼が滑り込んできた日々の表情が、いま写真という記録として蘇ります。

練習着から見える羽生結弦の素顔

本番用の衣装ではなく、あえて「練習着」をテーマに据えた今回の写真集には、大会用に設えられた華やかさや演出を離れた、羽生結弦さんのリアルの姿が映し出されています。舞台袖でもなく、リンク下手の控室でもなく、練習リンクでのひととき。羽生結弦さんが闘い、悩み、そして新たな軌道へと飛び立つために日々を刻んできた、その日常の延長線に立ち会える…そのような視点で見ていくと、さらに期待が高まります。

そもそも、練習という場は、氷上に立つ何万人もの観客を前にした本番とは異なり、より純粋で、より内面に近いもの。羽生結弦さん自身も、ある種「自分との闘い」として練習に臨んでいると言われます。その緊張やプレッシャー、そして微かな開放感が、練習着という衣服を介して浮かび上がってくる、そんな視点で見てみると面白いかもしれません。田中宣明カメラマンは、そんな表情の揺れ動きや、練習着という装いだからこそ自然に現れる「隙」を撮り続けてきました。今回の写真集は、まさにその10年分の集大成といえそうです。

10年という時間、写真に刻まれた成長と変化

2015年の姿から2025年まで、羽生結弦さんが刻んできた日々、そして変化がこの1冊には凝縮されています。資料によると、今回の写真集は2015年創刊のフィギュアスケート誌『アイスジュエルズ』と、同誌がシーズン毎に刊行してきた「SEASON PHOTOBOOK」シリーズの10巻を経て、節目として発行されるもの。つまり、この10年は、羽生結弦さん自身だけでなく、羽生結弦さんを取り巻くフィギュアスケート文化や報道、写真表現までもが変わってきた時代でもあります。例えば、20代前半の頃の羽生結弦さんは、まだ若さが強く滲んでいました。細やかな身体の動き、跳躍のためのスケーティングの追求、軽やかさと躍動。ブログなどの読者レビューには「2015年の写真はまだ幼い部分もあり、アスリートとしての真剣な顔もあり」などの言葉も見られます。
一方、10年を経た羽生結弦さんは、より「存在としての羽生結弦」としての立ち位置を確立していきます。責任感、覚悟、そして氷上で観せる美しさの背景にある「日々の鍛錬」。この変化を練習着という「非ステージ衣装」を通じて見せてくれるのが、本作の興味深いポイントです。また、写真集の仕様としてA4判(210×297 mm)、全144ページ、オールカラーという体裁からも“見応え”が十分であることが伝わってきます。

カメラマン・田中宣明の視点と企画の背景

今回の写真集の撮影を担当した田中宣明カメラマンは、『アイスジュエルズ』のメインカメラマンとして長年活動してきた人物。そしてこの企画は「ずっと温めてきた」ものだと伝えられています。その意図を紐解くと、ただ羽生結弦さんの練習風景を切り取るのではなく、練習着という「衣服」にこだわることで、リンクの上での演技とは違う「もうひとつの舞台」を提示しようという姿勢が見えてきます。本番用の衣装ならば、衣装デザインや演出もあって誰もが惹きつけられますが、練習着は「ありのまま」という側面を持ちます。そこには、試合には出てこない表情、準備の息遣い、跳躍に挑む瞬間の研ぎ澄まされた集中力、そしてふと見せる笑顔や安堵の瞬間が映る。公式で発表されたリリース情報でも、「自分との闘い、限界との闘い、未知の世界との闘い」として、練習中の姿勢が語られています。さらに、田中カメラマンが練習時の撮影を「積極的に行ってきた」という記述もあり、これまで「リンク外で」撮られることの少なかった練習着姿の羽生結弦さんを、10年間追いかけることで一冊にまとめた意義は大きいと言えるでしょう。読者としても、どのような視点で撮影されているのかを知ることで、写真集を手に取った後の読み解き方が変わってくるはず。衣装やポージングではなく、選手の「時間」と「空間」を写しとる。そんな背景を感じ取れる一冊となるはずです。

読む価値、そして手元に置く意味

今回発表された写真集『羽生結弦 2015-2025』は、ファングッズを超えた記録そのもの。練習場という非公開の空間で、羽生選手が積み重ねてきた10年の時間。そこには成功や栄光だけではなく、失敗や悔しさ、迷い、そして再起の瞬間が詰まっています。
きっと年齢や世代を超えて、この写真集が響くのは「挑戦を続ける人の傍らにある日常の姿」が写されているからかもしれません。仕事、家庭、趣味、人生のステージが変化していく中で、羽生結弦さんのように変化しながらも芯を保つ生き方は、私たちの日々の励みになります。

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さらに、練習着という衣装の着替えない選択が象徴するもの――それは「変わるもの/変わらないもの」を写しとる行為とも言えます。試合衣装ではなく、練習着。表舞台ではなく、準備と反復の裏舞台。そこに宿るリアリティが、写真を超えて読者の心を揺さぶることとなりそうです。


価格は/定価4,400円(税込)、A4判144ページという内容。 写真集という手に取る媒体の特性を考えれば、大切な一冊としてリビングや書斎の棚に置きたくなる雰囲気があります。撮影者の視点、被写体の時間、そして読者の想いが交差する瞬間が、そこにはあります。また、発売というタイミングも10年の区切りという意味で象徴的です。自分自身の10年を振り返るように、羽生結弦さんの10年をこの一冊で振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

「氷上の魔術師」という言葉が似合う羽生結弦選手。しかしその魔術が生まれるのは、リンクの中心ではなく、むしろそこに至るまでの無数の「ひとりの時間」にあると思われます。この写真集では、羽生結弦さんがひたむきに滑り込む姿、練習着姿でふと見せる笑顔、そして跳び終わったあとの静かな佇まい――それらの一瞬一瞬がページに刻まれています。


撮影者・田中宣明が長年温めてきた企画だからこそ、ただ「羽生結弦」という名前だけでは伝えきれない「10年の歩み」が感じられる…羽生結弦さんのファンであればもちろんのこと、スポーツや挑戦の物語を愛する人ならば、ぜひ手に取ってほしい一冊となりそうです。10月21日発売。棚に並ぶその日、じぶん自身の10年を重ねながら、羽生結弦さんの練習着姿に宿る物語を、しばしページをめくって感じてみてください。

<羽生結弦2015-2025>

判型:A4判(210×297mm)

ページ数:オールカラー144ページ

定価:4,400円 撮影:田中宣明

企画・制作:Ice Jewels

発行・発売:舵社(販売部:TEL 03-3434-4531)www.kazi.co.jp

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