9月2日(月)から9月7日(土)まで開催された国内最大級のファッションの祭典「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッションウィーク東京)」。2025春夏となる今回は、全33ブランドが参加し、注目を集めています。ここでは、9月3日(火)渋谷ヒカリエホールAにて開催された52tenbo+(コニテンプラ)のランウェイをお届けします。
「自立」をテーマにしたデビューコレクション
元大関の小錦八十吉氏と、『世の中の全ての人へ』をコンセプトに掲げるtenboが手掛ける新しいプラスサイズ(体の大きな方・背の高い方)が主役のファッションブランドとして2024年に誕生した52tenbo+。「Independece -自立-」をテーマにしたこのデビューコレクションは、ファッションに対する固定観念を打破し、自分らしさを堂々と表現することを目指す、まさに風の時代を象徴しています。今回のランウェイでも「シルエット」という誰もが持つ概念から自我を解放し、個々の美しさを尊重するメッセージが強く打ち出されていました。
5つのシーンに登場するランウェイモデルは、障がいの有無に関わらず、一般公募で選ばれた7歳から社会人までのプラスサイズモデルたち。ファッションの世界で往々にして見落とされがちな視点を堂々とステージに乗せ、観客に新たな美の基準を提示しました。
シーン1:「ひまわり」— 喜びと生命力の象徴
紫のシャツを羽織ったセインカミュのナレーションで始まったランウェイの幕開け。
バイオリンのやさしい音色が流れる中、シーン1「ひまわり」では、ひまわりが描かれたバッグや衣装を纏ったモデルたちが登場。
彼らが歩くたびに、服の裾がふんわりと広がり、まるでひまわりの花が咲いたかのようなシルエットを生み出しました。生命力と喜びを象徴するひまわりとリンクしたアイテムは、鮮やかなヘアカラーやセットアップのコーディネートとともに、個々の美しさを引き立てていました。
シーン2:「自尊心」— グラデーションとアシンメトリーの美学
続くシーン2「自尊心」では、モノクログラデーションやアシンメトリーを意識したデザインに注目。グリーンやピンクなどの鮮やかな色彩がグラデーションで表現され、シャツワンピースやレイヤードコーデがモデルの体型や個性に合わせてスタイリングされました。自分を誇りに思う気持ちが、ファッションという形で具現化される、そんなシーンでした。
シーン3:「ありのままで」— 多様性と家族愛の表現
シーン3「ありのままで」では、笑顔で手を振る車椅子の妹と共に登場した兄妹モデルの姿が観客の心を掴む場面も。
可愛らしい水玉のドット柄アイテムや、「こにてんぷら」とポップに描かれたワンピース、着物をイメージしたアイテムがランウェイに登場し、日常の中で自分らしくあり続けることの重要性を表現。
プラスサイズの人々がオシャレを楽しむことを奨励し、誰もが自己表現を楽しめる世界を描きました。
シーン4:「大和魂 強さ」— 日本の美と力強さの融合
後半となるシーン4「大和魂 強さ」では、現役力士の翔猿正也さんが坂本龍馬をテーマにした姿で登場。
エレガントなブルーを取り入れたアイテムや、青い阿修羅と赤い阿修羅をイメージしたスタイリングなど、日本の伝統と現代美学を見事に融合させました。使い古した着物やネクタイを再利用し、組み合わせて完成させるなど持続可能性と美の多様性を訴えるファッションは必見です。
シーン5:「Independece 」— おしゃれを自由に楽しむ解放感
最後のシーン「Independece -自立-」では、赤と白を基調に手書きの薔薇で表現されたワンピースや着物を彷彿させるコレクションが登場。誰もがオシャレを楽しめるというメッセージを強く打ち出しました。ファッションの自由と多様性を祝福し、誰もが自分自身を表現できる、そんな場所としてのランウェイが描かれました。
ランウェイの締めくくり— メッセージに込められた思い
ランウェイの最後には、52tenbo+の代表デザイナーである小錦八十吉氏と鶴田能史氏が登場。
「産まれてきた自分の色を大切にしてほしい」「一人一人の美しさがある」「ファッションの世界は背が高い、痩せているだけではない」といったメッセージを語りかける姿が印象的でした。
客席から沸き起こる大きな拍手とともに、ランウェイは感動的なフィナーレを迎えました。
従来のファッションショーの枠を超え、参加者一人一人の個性と自信を祝う場となった52tenbo+のランウェイ。多様な美しさを認め合い、ファッションの枠を超えたメッセージを伝えるこのショーは、観客の心に深く刻まれるでしょう。
ランウェイの様子はコチラから